障がいがある人の働くかたち
一般就労と福祉的就労
障がいがある人の就職には、企業や公的機関に就職し雇用契約を結ぶ、いわゆる一般的な就職のかたちである『一般就労』と、そのような一般就労での働き方が難しい方向けの『福祉的就労』の2つがあります。
一般就労では、障がいがある方も他の従業員と同じ労働者であり、企業と取り交わした雇用契約に基づいた勤務時間・業務に携わることを求められます。昇給やキャリアアップのチャンスもありますが、求められている仕事量をこなすことができない場合は、減給などのペナルティもあり得ます。
一般就労は、福祉的就労よりも、より働く力や体力、精神的な強さを必要とされます。
『就労移行支援事業』はこの一般就労を目指す方を対象に訓練をおこないます。
福祉的就労は、訓練や福祉サービスの一環として、労働をおこないます。
勤務時間や作業量などは、利用者の希望によって決めることができ、自分のできる範囲で働くことができます。福祉的就労ができる福祉サービスには『就労継続支援A型事業所(雇用型)』や『就労継続支援B型事業所(非雇用型)』があります。
福祉的就労も働きに応じて賃金が支払われます。例外もありますが、一般的にもらえる金額の大きさは、一般就労>就労継続支援A型>就労継続支援B型となります。
就労移行支援 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 |
---|---|---|
目的と対象者 | ||
一般就労を目指す
|
働く場を提供する
|
|
一般就労への移行率 | ||
26.4% |
4.7% |
1.1% |
【出典】社会福祉施設等調査、国保連データ(平成29年度) | ||
年 齢 | ||
65歳未満 |
65歳未満 |
なし |
雇用契約 | ||
なし |
あり |
なし |
賃 金 | ||
基本なし ※事業所によって発生する場合もあります |
賃金が発生 78,975円(全国平均月額) |
工賃が発生 16,369円(全国平均月額) |
【参考】厚生労働省 障害者の就労支援対策の状況(令和2年度) | ||
利用期間 | ||
原則2年間 |
なし |
なし |
愛・あいネットが一般就労に力をいれる理由
一般就労、福祉的就労にはどちらにもメリット・デメリットがあり、この2つの働き方のどちらを選択するか、障がいの状況や、障がい者年金の受給状況、生活の基盤など、様々なことを加味しながら、考えることとなります。
それにはもちろん、障がいがある方ご本人の意思が最優先されるべきです。
しかし、私たちが長年、就労移行支援サービスを提供していくなかで感じたのは、『就労移行支援事業』についての認知度の低さです。「A型やB型は耳にして知っていても就労移行支援は聞いたことがありませんでした。」というお話は、相談に来られる方から良くお聞きします。
上記の比較表を見ていただいても分かるように、一般就労への移行率の高さは就労移行支援事業が際立っています。企業への就職を目指しているのであれば、是非、就労移行支援事業を活用してほしいのです。
働くことは収入を得ることです。収入を得ると、一人暮らしや趣味や恋愛など、自分のこれからの人生設計のイメージがしやすくなります。また、働くことは収入を得るばかりでなく、社会とのつながりを構築し、自己実現をはかる大切な意義を持ちます。